58歳の女性がフッ素洗口で急性中毒発症

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     まえおき

      このようなサイト(注:現在は閉鎖していますが、村上博士はフッ素に関するウェブサイトを発信していました)を主管していると、ときどき読者の方からフッ素の毒性についてメールで相談をうける。まじめなものにたいしては極力時間をやりくりしてお答えすることとしているが、最近経験した次の事例は、通っている歯科医師から勧められるままにフッ素洗口していたところ急にひどく体調を崩したという内容のもので、割合深刻なものである。相談された方が相当教養のある方のようで、私の回答に応じて即座に行動をとったため、浅い被害ですんだようであるが、全国にはまだこんなことが多々起こっているのではないかと憂慮される。特に小児など、ただぐったりとするだけで、親はまさかこんな症状がうがい薬に原因があるとは絶対に思わないだろう。そこで、相談者の了解のもとに、氏名を匿名とすることでいきさつすべてこをこに掲載し、啓蒙に資することとした。
      これを医学のうえで症例報告といわれる文献にまとめるには、まだまだ突っ込んで研究して満たしておかなければならない条件が幾つかある。場合によれば再現実験も必要かもしれない。しかし、そうすることは患者さんにかなりの苦痛を与えるおそれがあり、同意がなければ、とてもできない相談である。それに、フッ素でこんな症状が起こることについては、これまでにかなりの量の医学文献が積み上げられている。あえて、不完全のまま、市民の判断の材料として公開する次第である。
                                     村上 徹
     


     

    第1信


     はじめまして。
    私は今月10日(村上注−2004年2月)からフッ素による洗口を勧められて18日間毎晩、(このうち一日だけは忘れてうがいをしませんでした)17回洗口をしたことになります。
     ところが、これを始めてから、なにか血圧の上昇を感じるようになりました。身体がふらつく感じや、気分の悪さ、動悸がでてきました。
      最初は何が原因か自分では判りませんでしたが、2月28日に一層ひどくなってきて、とうとう寝込んでしまいました。本当に動悸もひどくて、休みながらなぜ自分が、この様になったのかを、良く考えてみました。
     歯科医院ではフッ素でうがいをするときには、ミネラルウオーターではなくて、水道水でフッ素の溶液を作るようにと言われたこと、ミネラルウオーターだとそれがカルシュームと反応するからと言われたことを思い出しました。と言うことは、たとえ少しでもフッ素は身体からカルシュームを奪うのだと気づきました。そして、カルシュームが確か心臓の働きに関係をしているということを以前何かで読んだ記憶が思いだされてきました。
     そのことに気付いたので28日からは、洗口を取りやめています。今朝3月1日にふと思いついて検索したところ、フッ素についてのご意見を読み恐らく私の症状であると思いました。
     背中の右側に軽い痛みが数日前からおきていました。 体内のどこかが痛められたのではないかと不安に思っています。ここ2年ほどは歯科以外には医者にかかっておりませんので、フッ素以外に思いあたりません。
     ご多用と存知ますが、このことについて検査をしたりなんらかの処置を受けるべきか、否かをお尋ねいたしたく存知ます。
                2004年3月1日
                            氏名
     

    第一信への回答

    ○○様
    メールだけのやりとりだけでは断定できませんが、おそらく急性のフッ素中毒だと思います。そう思って処置をなさることが事態を悪化させずに済むと思われますので、その線にそってお答えいたします。

    まず、応急的な処置としてとにかく牛乳を沢山飲むことと、ビタミンD剤を服用して下さい。
    そして最初に医師に相談すべきですが、ふつうの内科医師は一般的にフッ素中毒をよく知らないのが実情です。そこで症状がなかなか改善しないようでしたら、化学物質の中毒に詳しい医師がいる病院を訪ねて下さい。大学病院か、麻酔科のある総合病院がよろしいでしょう。筑波大学病院の中毒センターが有名です。ここに電話してご相談になるのもよろしいと思います。
    それらが終わって一段落したら、フッ素洗口をすすめた歯科医師には責任をとってもらうことです。
                                                                      村上 徹
     

    第2信


    村上 徹 様
     早速アドバイスを頂きまして、大変有難うございました。始めてのことで、いったい誰に聞くべきか判らなかった時に、メールを通してお教え頂き本当に有り難く、心から感謝致しております。
     3月1日付の私のメールに今月とありましたのは2月の誤りでした。訂正致します。
     さて、私は3月1日に歯科医院に電話で連絡を取り、フッ素による症状としか考えられないと話しましたところ、その日の午後に担当の歯科医師から電話があり、フッ素の洗口を中止する様にとの指示がありました。それで、今出ている症状に対してはどうする積りかと聞かれましたので、取り敢えず内科医にかかる積りである旨を伝えました。
     大学病院へという考えも持ちましたが、既に3月1日の午後でしたので、取り敢えず近くの病院で診察を受けることにしました。血圧H180、L100で、脈拍、心電図は正常との診断でした。
      私が色々と症状を訴えた為に肝臓、腎臓の為の検査もすることになり、血液検査の為の採血を済ませて、今後1週間は血圧を朝、晩チェックすることになりました。
     内科医は、フッ素はアメリカでも水道水に入っている筈だから、有害であるとは思っていなかったとのことでした。
    私の場合は、正しくはフッ化ナトリューム0,05パーセントの洗口液を500ミリリットル作り、それを一日夜一回7ミリリトルくらいで1分間ぶくぶくうがいをした後にすべてを吐き出して、その後は飲んだり食べたりしないというやり方でした。
     3月1日以降、血圧はH165,L111、H150、L99、 H147、L100、 と推移して、3月3日の今朝はH140、L84、となり、大分身体が楽になってきました。牛乳、カルシューム、ビタミンDの摂取を続けています。
      私は、フッ素洗口を受け入れた自分の無知を恥じています。知っていれば断ることが出来た筈だからです。理由もわからないままに身体がふらついてきて、薬害がこんな自分の身近にあったことに驚いています。
    フッ素洗口についての害をせめて周囲の人たちに知らせていくことが私の今後していくことと今は思っています。
      以上、ご報告いたします。本当にありがとうございました。
            2004年3月3日
                           氏名

     

    第2信への回答およびご質問

    ○○様
    とにかく危険な状態を脱したようで、結構でございました。
    二回目のメールで判然としない部分がありますので、少し詳しく教えて頂けませんか。

    > 脈拍、心電図は正常との診断でした。

    フッ素の急性中毒症状の主なものは、急性低カルシウム血症と、酵素の障害による多臓器の機能障害によるものが殆どです。これが色々な臓器に問題を起こしてきます。
    ですから血液検査をする場合には、血中カルシウムが正常の濃度をたもっているかどうかが、まず問題になります。
    また、血中カルシウムの濃度が低下すると、副甲状腺ホルモンが急激に増加して血中のカルシウムの欠乏を補なおうとしますから、副甲状腺ホルモンが増加しているかどうかを検査するのも非常に大切になります。しかし、これは、フッ素の摂取が中断されると、かなり短い時間(24〜36時間程度)で相当に回復しますから、今が正常値であったとしても、過去にフッ素の曝露がなかったとはいえません。

    また心電図の検査では、QTインターバルの延長が認められるかどうかが問題となるといわれております。懇意にしているフッ素問題に詳しい内科医師の意見をきいたところ、心電図にはそのような変化が現れることがあるとの回答に接しました。要するに「急性低カルシウム血症」に起因する様々な症状が認められれば、あなたの場合、フッ素による急性中毒ということが出来るということです。
    アメリカの水道にいれてあるフッ素は1ppm(1万分の1%)ですが、フッ素は体内におよそ摂取量の半分は蓄積しますので、過敏な方はそのような少量のフッ素によっても軽い急性中毒が起こるという報告があります。(興味があれば医学の文献をお教えします。)あなたの場合はそれとは比較にならない大量のフッ素が体内に蓄積したのですから、フッ素中毒が起こる可能性は十分にあります。

    それと今回のメールにある

    > 私の場合は、正しくはフッ化ナトリューム0,05パーセントの洗口液を500ミリリットル作り、それを一日夜一回7ミリリトルくらいで1分間ぶくぶくうがいをした後にすべてを吐き出して、その後は飲んだり食べたりしないというやり方でした。

    という部分ですが、これはご自分で調合なさったのでしょうか。それとも歯科医師から投薬されたものか、処方箋を受けて薬剤師が調合したものなのでしょうか。投薬されたとすれば、どのような製品名だったのでしょうか。

    フッ化ナトリウムは大体45%の割合でフッ素を含んでおります(55%はナトリウム)。0.05パーセントのフッ化ナトリウムというと、500ppmのフッ化ナトリウムということになります。この中にはその45パーセントがフッ素ということになり、つまり225ppmのフッ素がはいっていることになります。(通常歯科医師がフッ素洗口剤として推奨している濃度は、500ppmのフッ素がはいっている液で、これで週一回うがいを指示するのがふつうです。)
    あなたの場合ですと、これを毎日うがいをするという事のようですので、かなりの摂取量となります。この点について詳しいことがお分かりでしたらお教え下さい。

    それから、あなたのメールと私の回答を含めて、フッ素洗口の危険性の警告を私のホームページに搭載したいと思っています。あなたのご氏名は勿論匿名にして表に出しませんが、恐縮ながら年齢を教えていただけませんか。フッ素中毒は、特に腎機能の弱い方や腎機能が衰えてくる50歳以上の者に強く出ると言われておりますので、腎臓の検査はよくなさった方がよろしいと思われます。

    うかうか歯科医師の言う事に従ってフッ素洗口を受け入れたという事でご自分を責めるのは精神衛生のうえでよくないと思います。これは100パーセント歯科医師の責任です。医師の指示に忠実に従うのは患者さんのあり方としては当然です。そのような患者さんの信頼や期待を裏切る歯科医師の無知や間違いこそ、ミスリードとして咎めるられるべきです。かつて薬害エイズ問題で厚生省を相手どった医師や弁護士・市民の方達が、薬害という立場から、フッ素の害について厳しい警告を発している理由もここにあります。ご友人の方々に口コミでフッ素の害をお伝え願えれば、有り難いと思います。

    それから、歯磨き剤もよく〔薬用成分〕というところを見てフッ素の入っていないものを選ぶようにして下さい。〔フッ化ナトリウム〕、〔モノフルオロ燐酸〕と書いてあるのがフッ素入りです。アメリカではこういった歯磨き剤には有毒との警告文が添付してあるのですが、鈍感な日本の行政はそれすら義務づけておりません。いい加減なものです。
    以上

    追記
    カルシムウ剤はともかく、体調が正常に戻られたら、ビタミンDの服用はお止めになった方がよろしいでしょう。カルシウム剤も長期間ダラダラと服用するのは感心しません。副作用がないわけではありません。
    カルシウムは元来、野菜やチーズ(牛乳ではありません)からとるのが一番良いとされておりますのでついでながらお知らせしておきます。
                                           村上 徹

     

    第3信


      先日来いろいろとご教示頂きまして本当に有難うございました。ご質問にお答えいたします。

     1、脈拍,心電図については、数値を示されたわけではありません。内科医が採血中の私に向かってただ正常ですとおっしゃっただけです。
     2、フッカナトリュ-ムについては、それは小さなボトル(これを使って2月10日に自分で水道水で薄めて洗口液をつくった後にこのボトルは捨ててしまいましたので、その溶量を推測すると、正確ではありませんが、40ないし50ミリリットル入り位のプラスチック製のボトル)に入っていて、フッ素洗口補充液とそのラベルにプリントされていました。
     この小さなフッカナトリュ-ム入りのボトル一本と何も入っていない空のポンプ付きの大きいボトル(大きさを分かりやすくいえば現在市販されているシャンプーやリンスの入っているポンプ付きの容器ににた形のものです。)一本を歯科医院から買いました。
     先ず、フッ素洗口補充液(原液)をこのポンプ付きの大きな空の方のボトルにいれ、
    次にこのボトル上部についている赤いライン(500ミリリットルの目盛り)のところに迄水道水を加えると洗口液が出来ました。
     実際に洗口する場合はこのボトルのポンプを二回押すと約7ミリリットルの洗口液が出てきて、これで一分間ぶくぶくうがいをしてから、吐き出しました。この後は全く何も食べたり、飲んだりはせずにそのまま就寝していました。

     毎日法というやり方でした。
    取り扱い説明書によると、フッ化ナトリュ-ム(NaF)0.05パーセント(225ppm)と書いてありますので、これを水道水で薄めたことになると思います。
      連続して毎日これを行うことでいろんな症状が二月下旬までに徐徐に強く出てきたのです。
    洗口を止めてから、だんだんと症状が落ち着いてきている現段階で、考えてみますと、強い動悸と身体がふらふらする感じからもたらされた血圧上昇感、気持ちの悪さ、背中の微かな痛み(背中右側部分)、喉の奥の乾き感、食欲不振(空腹感がなく、食べようと思わない)これらが強くなってきました。
    私としては全くこれらの原因に思い当たることがありませんでした。
     毎日の生活,食生活にも気をつけて生活していた積りでした。そこで一月と二月では一体何が違うのかを考えた時にフッ素洗口をしているという違いに思い至ったわけです。
     私は昭和20年(1945年)生まれで現在58歳です。
    お役に立つのであれば匿名を条件として頂きたく思います。

     その後更に情報を得ようと教えて頂きました筑波の中毒センター(Tel. 0990−52−9899)へ電話致しましたが、数回かけても通話中で繋がらず,大阪にもありましたが遠方でもあり、次に北里大学病院薬剤部中毒センター(Tel.0427−78−9128)へ連絡することが出来ました。
     ここからの情報では、フッ素については、カルシュ-ムと結合してフッ化カルシュ-ムになること、そして腐蝕作用があり消化管,呼吸器に何らかの症状が出ること。それに対して胃洗浄や粘膜保護剤の投与などをする。いずれにしても、対症療法しか出来ないとのことでした。
     ただ、私のケースにについては、薄い溶液では私の言っている様な症状にはならないのではないかと思う(しかも、うがいしただけでは)という見解でした。
     
      これに対しては私はやはり違っていると思っています。たとえそれが薄い溶液であったとして、フッ素の水溶液に変わりがありませんから、でる症状の程度に差があっても何らかの影響が出ることは当然であると考えています。
      北里大学薬剤部中毒センターへは、通常は病院からの問い合わせが主であるということで、電話番号の入手先をきかれました。インターネットを通してと伝えました。
    インターネット上に薬剤部の○○さん(女性)とありましたので、その方かと思って尋ねたところ、○○さんは前任者ですとのお答えがありました。私に答えて下さった方も女性の方でした。
     
     連絡が遅くなりまして失礼致しました。フッ素のことでこんなに身体が辛くなるとは夢にも思いませんでした。
    来週になれば血液検査の結果がでることと思います。恐らくその頃には体調も回復しているとおもいます。
    本当にいろいろと有難うございました。
               2004年3月5日
                                氏名


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